業務内容
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当事務所の取り扱う業務内容についてのご案内です
相続・遺言
人は誰しも必ず死を迎えます。人1人がお亡くなりになると、実に様々な手続を行うことを要し、この手続により、ご遺族はあらためて故人の存在の大きさを痛感されることでしょう。相続手続は非常に煩雑な手続をふむことを要し、大切な方を亡くされたご遺族にとって大変なご心労を伴うこととなります。
当事務所にご相談頂ければ、ご遺族にとって最適な相続方法をご提案させていただきます。
相続について
相続とは自然人の死亡によりその者の有した財産上の一切の権利(一身専属権を除く)を特定の者に承継させることです。被相続人(亡くなった方)の住所において開始し、相続財産に関する費用はその財産の中から支弁することとなっています。
ここで重要なのは法律行為は意思表示によって行なわれますが、相続の場合その意思表示がないので必ずしも被相続人の思い通りに相続が行なわれるとは限らないと言うことです。
相続財産になるもの・ならないもの
相続財産となるものは具体的には以下の通りです。
- 不動産の所有権
- 動産の所有権
- 債権(土地建物の賃借権・貸金・賃料債権・売掛金・株式など)
- 無体財産権(特許権・商標権・意匠権・著作権など)
- 契約上の地位
- 占有権
- 債務(借金・未払金・買掛金・損害賠償の支払い・慰謝料の支払いなど)
- 生命保険金請求権(被相続人が保険金受取人か、受取人を指定していない場合)
逆に相続財産ではないものは次のようなものです。
- 身元保証など補償額に期間や制限のない保証債務
- 生命保険金請求権(保険契約者以外の第三者が保険金受取人の場合)
- 死亡退職金
- 遺族年金
- 香典
- 被相続人の一身に専属した権利
法定相続人と相続割合について
相続人には民法で定められた親族がなります。この民法で定められた相続人を法定相続人と言います。
法定相続人になるのは次のような人たちです。
- 被相続人の配偶者
- 被相続人の子供など直系卑属
- 被相続人の両親・祖父母などの直系尊属
- 被相続人の兄弟姉妹
このような人たちが法定相続人になりますが、実際に相続する場合には優先順位が決まっています。
順位は次の通りになります。
- 第一順位:子
- 第二順位:親
- 第三順位:兄弟姉妹
配偶者が生きている場合には配偶者は常に相続人になります。次に配偶者以外の相続人は、先順位の相続人がいない場合に限って後順位者が相続人になります。ただし子供が死亡していても、その子供(被相続人の孫)がいる場合には、代襲相続といってその孫が相続人になります。
親がいない場合にも祖父母がいる場合には祖父母が相続します。胎児でも生きて生まれたものとみなして相続する権利があります。ただし、死産の場合には権利はなくなります。
相続の割合はだれが相続人になるかによって異なります。この割合は法律で決まっており、配偶者以外の同順位の相続人が複数名いる場合には、配偶者の相続分以外の相続分を頭数で均等割りした分が各相続人の取り分になります。ただし、同順位の相続人の中に非嫡出子がいる場合には、非嫡出子の取り分は嫡出子の半分になります。
なお、遺言があり遺言で相続人の相続分が指定されている場合には法定相続に優先します。遺言で相続人の遺産分与などを指定する相続方法を「指定相続」といいます。
相続人 | 配偶者の相続分 | 子・親・兄弟姉妹の相続分 |
---|---|---|
配偶者と子(代襲相続を含む) | 1/2 | 1/2を頭数により均等割り 非嫡出子は嫡出子の半分 |
配偶者と親(直系尊属) | 2/3 | 1/3を頭数により均等割り |
配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4を頭数により均等割り |
配偶者のみ | 1(全て) | - |
子または親、兄弟姉妹のみ | - | 全体を頭数により均等割り |
遺言作成
一番最初にも述べましたが相続において必ずしも被相続人の思い通りに相続手続きが行われるとは限りません。遺言は、死後に自分の意思を伝える為の唯一の手段です。相続の準備は財産を残す側が行うものです。財産は被相続人の物ですから、それをどう処分するかは被相続人の自由にできます。
被相続人が遺言書を残さずに亡くなると、残された相続人の間で遺産の分け方を話し合って決めなければなりません。この遺産分割協議をめぐって相続人の間で争いがおきる事がよくあります。それを防ぎ相続人が円満でいられるようにする為にも遺言書を作成しておく必要があります。
遺言書を残しておいた方が良いケースは以下のとおりです。
- 子供がいない
- 法律で決められた相続人とは別に財産を分けてあげたい人がいる
- 内縁の妻がいる
- 相続財産を寄付したい
- 葬儀の方法をあらかじめ決めておきたい
遺言書を書くには
遺言を書くには、それぞれ遺言の種類によって法律で書き方が定めらています。
せっかく書いた遺言書に不備があって元も子もありません。自筆証書遺言と公正証書遺言の書き方について説明いたしますが、きちんとした遺言書を作成したいのであれば、やはり司法書士などの専門家にご相談することをお勧め致します。
自筆証書遺言
文字通り遺言者が自分自身で書いて作成する遺言書です。
遺言者が自分一人だけで書け、遺言の中では最も簡単に作成することができます。また、遺言の内容の秘密が守れる、費用がかからない等の長所があります。
逆に短所としては遺言書自体が偽造・破棄・隠匿される恐れや紛失の可能性があること、さらに民法で定められた形式に違反していたり、内容が不明確な場合には遺言が無効になります。また遺言者の死亡後速やかに家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
自筆証書遺言の条件としては、遺言者が遺言の全文を自分の手で書くことが必要です。自分で文字を書けない場合には自筆証書遺言は作れません。
自筆証書遺言を作成する時の注意点は以下の通りです。
- 必ず紙に書く
用紙・筆記用具には法律上の制限はありませんが、筆記用具は鉛筆などのように書き換えられて偽造される恐れのあるものは避けましょう。 - 自筆で書く
代筆してもらったりパソコン・ワープロ・タイプライター等で作成した物は無効です。 - 日付を書く
日付は書いた日にちが特定できなければなりません。「平成○年○月吉日」のような記載では日にちの特定ができないため、無効になります。日付も自筆で書かなければなりません。 - 氏名を書く
氏名は遺言者を特定できる名前であれば、芸名・通称名・雅号・屋号などでも有効です。 - 捺印をする
捺印の印鑑は印鑑登録をした実印でなくてもかまいません。三文判でも有効です。ただし捺印を忘れると遺言書は全て無効となってしまいます。 - 遺言書を封筒に入れて封印を押す
秘密証書遺言以外の遺言書では、封筒に入れて封印をしなければならないという定めはありませんが、封筒に入れ封印をしておく事によって偽造を防止することができ、また内容の秘密も守れます。
封印のしてある遺言書は勝手に開封することができず、開封するには家庭裁判所に持参して相続人の立会いのもとで行う必要があります。勝手に開封をすると過料の罰則があります。
公正証書遺言
最も確実な遺言の方法です。
公正証書遺言を作成するには、遺言者が二人以上の証人を立会人として公証人の面前で遺言を述べ、公証人が遺言者が口頭で述べた遺言の内容を筆記して遺言者と証人に読み聞かせ、遺言者と証人はその筆記の内容が正確なことを確認したうえで、それぞれ署名・捺印すれば完成します。この場合の捺印に使用する印鑑は印鑑登録をした実印でなければなりません。遺言書は写しも作られ遺言者本人と公証役場で保存されます。
公正証書遺言では他の遺言方式のように家庭裁判所での検認を受ける必要がありません。また「遺言検索システム」が導入されており、遺言書を作成した期日、正本を保管している管轄の公証役場などが、どこの公証役場からでもすぐにわかるようになっています。
公正証書遺言を作成する場合には財産を特定するための資料として登記簿謄本などもあわせて持参します。また公証人は遺言書の内容については基本的に助言はしません。内容のいかんに関わらず遺言者の言うとおりに遺言書を作成します。
遺留分の侵害などで相続人間に争いをおこさないような遺言書を作るためには、予め司法書士などに相談したほうが良いでしょう。また公証人に遺言書を作成してもらう際に間違いがなくスムーズに遺言書を作成してもらう為に、予め遺言書の原案を作成して一緒に持参した方が良いです。
公正証書遺言の作成手順は以下の通りとなっております。
- 財産目録を作成して遺言の内容を検討します。
- 当事務所に手続きについてご依頼いただきます。
- 当事務所が遺言書の文案を調整します。
- 遺言書の文案を遺言者に確認していただきます。その際に今後の日程の調整も併せて行います。
- 公証人に遺言書の文案をFAX又はメールで送信し、事前に打合せを行います。
- 日程を調整の上、予定日時に遺言者が公証人役場に出向きます。
成年後見
日常生活を営んでいくときには様々な場面で法律行為が必要となります。買い物一つとっても、法律的に見れば「売ります。」「買います。」という双方の合意によって売買契約が成立しているのです。また住まいを借りる場合にも賃貸借契約を結ばなければなりません。
このように生活の様々な場面で法律行為が必要な社会の中で、その法律行為が自分にとってどんな結果をもたらすかなどを判断する能力が衰えてしまった方を保護するための制度が成年後見制度であり、大きく分けると「法定後見制度」と「任意後見制度」という二本の柱から成り立っています。
法定後見制度
精神上の障害や知的障害、また認知症などにより判断能力が衰えてしまった方を保護する制度です。判断能力の程度によって、以下の3類型にわけられ、本人又は配偶者、もしくは4親等内の親族などの一定の者が家庭裁判所に申立てを行い、それぞれ「後見人」、「保佐人」、「補助人」が選任されることによって開始されることになります。
後見
判断能力が欠けているのが通常の状態である方を対象にした類型後見人は、全ての法律行為について本人を代理することができます。また、日常に関するものを除き、本人が行った法律行為を取り消すことが出来ます。
保佐
判断能力が著しく不十分な方を対象にした類型保佐人は、本人の行う一定の法律行為(不動産の取引やお金を借りることなど)について同意権を持ち、保佐人の同意を得ずに行った法律行為については、本人又は保佐人が取り消すことが出来ます。また特定の行為について保佐人に代理権を与えることも出来ます 。
補助
判断能力が不十分な方を対象にした類型補助人は、特定の範囲の法律行為について同意権や代理権を持ちます。
任意後見制度
法定後見制度が、現実に判断能力が衰えている方を対象にしているのに対し、任意後見制度は、自分自身が将来判断能力が衰えてしまったときに備えて、自分の代理人となって欲しい人と考える人との間で公正証書によって契約を結んでおく制度です。
契約を締結した相手が任意後見人となるのですが、任意後見人を選んだのは家庭裁判所でありませんので、その事務が適正に行われるように、本人、配偶者、4親等内の親族などの一定の者が家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任を申し立て、これが選任された契約の効力が発生することになります。
成年後見制度のメリット・デメリット
メリット
- 判断能力が衰えた方の財産管理や身上看護を有効に行うことで、ご本人の保護を図ることができます。
- ご親族などが事実上行ってきた法律行為は、他のご親族や取引の相手方のクレームなどのトラブルの元となる場合があり、これを法的に認められた立場で有効に行うことができるようになります。
- ご本人が取引などで騙されてしまったような場合でも、後見人などが後から取り消すことができる場合があります。
デメリット
- 手続きに時間(約3~4カ月程度)と費用がかかります。
- 会社の役員や弁護士・司法書士などの専門士業の資格に就くことができなくなります。
- 後見類型の場合は選挙権がなくなり、印鑑証明登録も抹消されます。
法定後見人選任までの流れ
- 法定後見制度を利用するかどうかの検討
- 家庭裁判所への申立書類の準備
- 法定後見開始の申し立て
- 家庭裁判所による申立人に対する事情調査
- 医師の鑑定や親族への意向照会
- 家庭裁判所によるご本人面接
- 法定後見開始の審判
(後見開始の審判が確定するまでの期間は、一般的に3~4カ月程度とされておりますが、成年後見人の具体的な職務はここから始まります)
成年後見人の職務
選任された後見人は、以後本人に代わって不動産・預貯金などの財産を管理したり、医療・介護などのサービスを受けるための契約を締結したりすることで、ご本人を保護・支援していくことになります。また家庭裁判所に財産目録や年間の収支計画を提出するなどの事務を報告することで、家庭裁判所の監督を受けることにもなります。
なお、任意後見人の場合、契約で定めた範囲内で代理権を行使し、財産管理や身上看護をおこなっていきますが、ご本人が行った法律行為を取り消す権利は認められていないため、ご本人がたびたび高額の商品を購入してしまうなど、ご本人が行った法律行為を取り消す必要が生じた場合には、法定後見の申し立てをご検討いただく必要があります。